今回は、
残業手当の請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
6 国家賠償(被告国に対する請求)
被告国は、天満労働基準監督署長においてその職務を行うにつき、過失により違法に原告らに対し時間外労働(残業)に対する賃金相当額の損害を与えたものであるから、国家賠償法一条一項により原告らに対し右損害を賠償すべき義務を負う。
(一)天満労働基準監督署長は昭和四三年六月三日本件許可処分をした。
(二)本件許可処分の違法性
(1)原告らは法四一条三号の監視又は断続的労働に従事する者には該当しない。
(2)天満労働基準監督署長は、本件申請に対し、原告ら常駐警備員の従事する業務の実態を把握しながら、同号の監視又は断続的労働に従事する者の解釈を誤って、原告らがこれに該当すると判断し、本件許可処分をしたものであり、同署長の過失は明らかである。
(3)労働基準監督署長が同号の許可について裁量権を有するとしても、原告らの業務実態からして、本件許可処分は、労働基準法上到底許容されないところであり、裁量権を逸脱、濫用した違法のものである。
(4)労働省労働基準局長は昭和四四年四月七日、「公立学校における教職員による宿日直勤務の廃止に伴いいわゆる委託契約によりこれらの業務に従事する用務員等に対する労働基準法上の取扱いについて」と題する通達(基収第三四三号の二、以下「本件通達」という)により、法四一条三号に該当するための要件を次のとおり示達した。
1 一日の拘束時間は一二時間以内とすること。ただし、睡眠時間を含む拘束時間が一六時間を超えない限り、これに相当する時間の拘束時間の延長を認める。
2 睡眠時間を除いた一日の拘束時間を一二時間以内とし、実労働時間はその折半以下とすること。
3 法三九条の規定による有給休暇のほか、一か月二日以上の休日を与えること。そのため休日及び休暇の代替要員を制度的に確保すること。
(5)しかしながら、原告らの労働実態は本件通達の要件を充足していない。
1 原告らは仮眠するにすぎず睡眠しないから、一日の拘束時間は一二時間を超え、さらに土曜日は二〇時間、日曜祝祭日は二四時間で、最長の一六時間をも超えているから、右1の要件に反する。
2 原告らの土曜日、日曜祝祭日の拘束時間は仮眠時間を睡眠時間としても、一日一二時間を超え、拘束時間から仮眠時間を控除した実労働時間は、平日にあっては六時間、土曜日、日曜祝祭日はそれ以上超えるから、右2の要件に反する。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、
顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、
不当解雇、
保険会社との交通事故の示談交渉、
刑事事件や
多重債務(借金)の返済、
遺言・相続の問題、
オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
PR