今回は、
残業手当の請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
二 原告らの業務内容等について
前掲甲第二ないし七号証の各一、二(書込部分を除く)、第四〇号証、第六七号証の一、
二、成立に争いのない甲第四七号証の一ないし三、第五九号証の一ないし六、第六六号証の一、二、原告原万寿本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一九及び二〇号証(いずれも被告府との間では成立に争いがない)、同本人尋問の結果により原告ら主張の写真であることが認められる検甲第一ないし三号証、原告丸山孝本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第二一号証(被告府との間では成立に争いがない)、同本人尋問の結果により原告ら主張の写真であることが認められる検甲第四ないし一〇号証(被告府との間ではその旨争いがない)、訴訟終了前被告近畿保安警備代表者本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる丁第六号証、証人宮原正彦の証言により真正に成立したものと認められる乙第五号証、証人藤田實の証言により真正に成立したものと認められる丙第一ないし一〇号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第五八号証、第六〇号証の四(被告府との間では成立に争いがない)、第六二号証、第六五号証の一ないし三(被告府との間では成立に争いがない)、右証人宮原、同藤田、証人松岡勝の各証言、同丸山、右原告原(左記採用しない部分を除く)、右近畿保安警備代表者及び取下前原告新谷明博(左記採用しない部分を除く)各本人尋問の結果を総合すれば、以下の事実が認められ、これに反する原告原、同新谷各本人尋問の結果は採用しない。
1 近畿保安警備は、新聞広告や職安を利用して警備員を募集し、応募者に労働条件を説明し面接を行って採用のうえ、採用した従業員の具体的な仕事内容及び配置場所を決めていた。近畿保安警備は昭和四四年に同社の従業員により結成された組合との間で交渉を行い、賃上げ等の労働条件について決定していた。被告府は、近畿保安警備の行う従業員の採用及び配置、労働条件の決定等については何ら関与していなかった。
2 原告らはいずれも近畿保安警備に雇用され、常駐警備員として警備業務に従事していた。近畿保安警備は雇用している警備員に対し、本件委託契約書添付の仕様書写しを渡し、その記載内容のとおり警備業務を行うのが仕事であり、それ以外は行う必要がない旨指示していた。
3 常駐警備員の仕事は、原則として一校につき一名が学校内の警備員室に寝泊まりし警備業務を行うというものであり、その時間は全日制職員の正規の勤務時間以外の時間であって、平日は一七時から翌日八時三〇分まで、土曜日は一二時三〇分から翌日八時三〇分まで、日曜祝祭日は八時三〇分から翌日八時三〇分までであった。常駐警備員には一か月当たり四、五日の休日が与えられていた。常駐警備員が休日のときや病気等で休むときは、近畿保安警備に雇用されていた代勤要員が代わって常駐警備に従事した。
4 常駐警備員の警備業務の内容は昭和五一年度以前と同五二年度以降の仕様書では多少異なるが、おおむね以下のとおり定められていた。
(一)構内全般の戸締まりの点検、校門及び管理棟の最終出入口の施錠。
(二)定時制課程又は通信制課程の授業等のある場合には一七時から学校職員の勤務時間終了時までの間は原則として守衛的業務に携わること。
(三)被告府が定める場所について巡回時計を携帯して巡視を行い、戸締まり火気等に注意すること。
(四)警報装置の作動開始及び作動解除。
(五)翌朝における校門及び管理棟の最終出入口の開錠。
(六)外来文書及び電話電報の収受。
(七)火災、盗難等異常事態が発生したときに関係機関及び校長に連絡するとともに臨機の措置をとること。
(八)挙動不審者に対し退去命令及び必要な措置をとること。
(九)学校施設の目的外使用等の場合における使用後の戸締まりの点検及び火気等の注意。
(十)学校警備業務日誌の記録。
右(三)の巡視は、全校内を巡視するというもので、一回に三、四〇分程度の時間を要し、その回数は、昭和五一年度までは1八時三〇分から一七時まで四回、2一二時三〇分から一七時まで二回、3一七時から翌朝八時三〇分まで四回(夜間授業のある場合は全校内巡視三回と自転車置場等の巡視二回)と定められ、昭和五二年度以降は1八時三〇分から一二時三〇分まで一回、2一二時三〇分から一七時まで一回、3一七時から二二時まで二回(守衛的業務に携わる場合は一回)、4六時から八時三〇分まで一回と定められていた。
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